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開業して顧問先のデータを預かるようになると、最初にぶつかるのが「クラウドストレージ、DropboxとGoogle Workspaceのどっちにすればいいの?」という問題です。無料版で始める人も多いですが、業務で使い続けるなら無料枠のままでいいのかも気になるところだと思います。
この記事は、開業税理士である筆者が実際に保管はDropboxの有料プラン、顧問先との最新月次のやり取りはGoogle Workspaceの共有ドライブという形で両方を使い分けている実運用をもとに、どちらをどう選ぶかを整理したものです。料金や復元期間などの数値は各社公式の公表値のみを使い、確認時点(2026年7月時点)を明記しています。
クラウド環境全体(ストレージ・パスワード管理・データ共有)の話は、総合ガイドの税理士のクラウド環境構築ガイドにまとめています。あわせてどうぞ。
結論:保管はDropbox・最新月次の共有はGoogle Workspace(筆者の実運用)

結論から言うと、保管とバージョン復元を重視するならDropbox、メール・共有・チーム運用まで一体化したいならGoogle Workspaceです。どちらか一方に決めきれない場合は、役割を分けて併用するのが現実的で、筆者自身も併用しています。
クラウドストレージとは、ファイルをインターネット上のサーバーに保存し、複数の端末や相手と同期・共有できるサービスのことです。税理士業務では「顧問先の資料を安全に保管する」「最新版を関与先とやり取りする」の2つが主な用途になります。
筆者の場合は、保管の中心はDropboxの有料プラン、顧問先との最新月次のやり取りはGoogle Workspaceの共有ドライブ、という使い分けにしています。無理にどちらか一本にせず、「壊したくない保管はDropbox」「関与先と一緒に触る最新ファイルはGoogle Workspace」と役割で分けているイメージです。
このあと、まず「無料版で足りるのか」から順に見ていきます。
「どっちか1つ」で悩むより、用途で分けたほうがラクになることも多いですよ。
無料枠(Dropbox Basic・個人のGoogleドライブ)で税理士業務は足りる?
先に結論を言うと、無料版は「容量」と「共有・権限管理」の2点で業務に足りなくなります。無料が悪いのではなく、税理士業務で必要になる要件を無料枠が想定していない、というだけです。
無料版の容量は、Dropbox Basicが2GB、個人のGoogleドライブが15GB(Gmail・Googleフォトと共用)です(出典:https://help.dropbox.com/ja-jp/plans/dropbox-basic-faq/https://workspace.google.co.jp/pricing?hl=ja、2026年7月時点)。顧問先が増えて決算書・元帳・証憑をPDFで溜めていくと、この容量はすぐに埋まります。
さらに業務で効いてくるのが、共有ドライブ・スタッフ権限・退職者ファイルの資産化といった管理機能です。これらは組織向けの機能なので、個人の無料版には基本的にありません。「誰が何を見られるか」を設計できないと、顧問先のデータを預かる立場としては運用が苦しくなります。
つまり、無料版は「個人が自分のファイルを置く」用途には十分でも、顧問先のデータを継続して預かる業務用途には設計が合っていない、というのが実際のところです。不安を煽るというより、要件が違うと考えるのが正確です。
無料でも始められますが、顧問先が増えたら有料に切り替える前提で考えておくと安心です。
DropboxとGoogle Workspaceを7項目で比較【比較表】

先に要点だけ言うと、Dropboxは「保管と復元」、Google Workspaceは「共有とチーム運用」に強いという住み分けです。以下の比較表で、無料枠も並べて確認してください。
※表は横にスクロールできます。
※料金・容量は各社公式の2026年7月時点の表示。プラン改定により変動するため、契約前に必ず公式ページで最新をご確認ください(Dropbox:https://www.dropbox.com/ja/buy/Google Workspace:https://workspace.google.co.jp/pricing?hl=ja)。
表を見るとわかるとおり、無料の2列は「容量」「共有ドライブ」「復元」の行でどうしても見劣りします。ここが「なぜ業務では有料か」の答えそのものです。逆に、メール・カレンダーまで一体で使いたいならGoogle Workspaceの統合が効いてきます。
迷ったら「壊したくないデータをどこに置くか」で考えると選びやすいです。
ファイルの復元期間の違い(Dropboxのバージョン履歴 30/180/365日)

税理士業務で地味に効くのが、誤って上書き・削除したファイルを「いつまで戻せるか」という復元期間です。結論として、Dropboxはプランによって30日・180日・365日と復元できる期間が変わります。ここは有料でも一律ではない点に注意してください。
Dropbox公式の公表値では、復元できる期間は次のとおりです(出典:https://help.dropbox.com/ja-jp/account-settings/data-retention-policy、2026年7月時点)。
つまり、「有料にしたから長く戻せる」と思い込むと誤りで、Plusは無料と同じ30日です。180日以上戻したいならProfessional以上、チームで365日残したいならBusiness Plus帯、という選び方になります。決算期をまたいで「あの時点のファイルに戻したい」が起きやすい税理士業務では、この期間差は実務的な意味があります。
一方、個人の無料Googleドライブにも版管理はありますが、バイナリファイルの旧バージョンは原則30日・100版で自動削除される設計です。組織的にファイルを長期保全するなら、Google Workspaceの共有ドライブ側で管理するのが前提になります。
Dropboxの各プランの詳細は、無料クラウドじゃダメ?税理士が有料Dropboxを使う理由と実運用でも掘り下げます。
\まずは保管用の1つから/
「30日で足りるか?」は、決算のやり直しが起きるスパンで考えると判断しやすいですよ。
顧問先とのファイル共有はどっちがラク?
結論として、顧問先や関与先と「同時に触る最新ファイル」の共有は、Google Workspaceの共有ドライブがラクです。筆者が最新月次のやり取りにGoogle Workspaceを使っているのも、この理由です。
Google Workspaceの共有ドライブは、フォルダ単位で「誰が編集・閲覧できるか」を役割で設定でき、担当者が抜けてもファイルが組織の資産として残ります(出典:https://workspace.google.co.jp/pricing?hl=ja、2026年7月時点)。関与先と一緒に月次の数字を確認する、といった「みんなで触る」用途に向いています。
なお、共有ドライブをフル機能で使えるのはBusiness Standard以上です。筆者もこのBusiness Standardを使っており、2026年7月の請求は1ユーザーあたり月1,900円(税別)+消費税190円=2,090円(税込)でした。共有ドライブ目当てなら、実質的にこのStandardが基準の料金になります。
ただし、Dropboxが共有に弱いわけではありません。有料のBusinessプランなら共有ドライブ・権限管理に対応し、共有リンクにパスワードや有効期限を設定できます。「保管の堅牢さ」ではDropbox、「関与先と同時編集する共有」ではGoogle Workspace、と考えると整理しやすいです。
Google Workspace側の詳しい向き不向きは、ひとり税理士にGoogle Workspaceは必要?独自ドメインメール・カレンダー統合の実例と設定方法で解説しています。
「渡す」ならDropbox、「一緒に触る」ならGoogle Workspace、と覚えると迷いません。
【タイプ別】あなたの事務所はどっちを選ぶべき?

結論として、保管・復元重視ならDropbox、メール〜共有まで統合したいならGoogle Workspace、両方の良さが欲しいなら併用です。以下のタイプ別に当てはめてみてください。
大事なのは、「安いか高いか」ではなく「壊したくないデータの置き場所」と「誰と一緒に触るか」で決めることです。税理士は顧問先のデータを預かる立場なので、復元と権限管理を軸にすると選択を外しにくくなります。
なお、併用してもコストが二重に膨らむとは限りません。役割を分けて必要最小限のプランにすれば、保管用のDropbox+共有用のGoogle Workspace(少人数)で収まります。
「両方は贅沢かな」と思いがちですが、役割を分ければ意外と身軽に組めます。
まとめ|クラウドストレージはDropboxとGoogle Workspaceどっちにするか
クラウドストレージをDropboxとGoogle Workspaceのどっちにするかは、「保管・復元重視ならDropbox」「メール〜共有の統合ならGoogle Workspace」「両立したいなら併用」で決めるのが結論です。無料版は容量と権限管理の面で業務用途に足りなくなるため、顧問先データを預かる段階で有料への切り替えを前提にしておくと安心です。
筆者自身は、保管の中心をDropboxの有料プラン、顧問先との最新月次の共有をGoogle Workspaceの共有ドライブ、という併用で運用しています。まずは「壊したくないデータをどこに置くか」から考えて、自分の事務所に合う構成を選んでみてください。
クラウド環境全体の設計は税理士のクラウド環境構築ガイドに、Dropboxの実運用は無料クラウドじゃダメ?税理士が有料Dropboxを使う理由と実運用に続きます。
\保管環境から整えるのがおすすめ/
DropboxとGoogle Workspace、結局どっちが税理士向き?
保管とバージョン復元を重視するならDropbox、独自ドメインのメール・共有・チーム運用まで一体化したいならGoogle Workspaceです。筆者は保管をDropbox、最新月次の共有をGoogle Workspaceに分けて併用しています。
無料版だけで税理士業務は回せますか?
容量(Dropbox Basic 2GB/個人のGoogleドライブ15GB)と、共有ドライブ・権限管理の不足から、顧問先データを継続して預かる用途には厳しいのが実際です。個人利用には十分でも、業務では有料プランが前提になります。
Dropboxの有料プランなら誤削除は何日まで戻せますか?
プランで異なります。Plusは30日、Professionalは180日、Business Plus等は365日です(出典:Dropbox公式ヘルプ、2026年7月時点)。有料でも一律ではない点に注意してください。
顧問先とのファイル共有はどちらが安全ですか?
役割別の権限管理や退職者ファイルの資産化まで含めると、Google Workspaceの共有ドライブが管理しやすいです。ただしDropboxも有料のBusinessプランで共有ドライブ・権限管理に対応します。
併用するとコストが二重になりませんか?
役割を分けて必要最小限のプランにすれば、保管用Dropbox+共有用Google Workspace(少人数)で収まります。用途で最適化すれば二重負担にはなりにくいです。