※本記事にはプロモーションを含みます。
開業税理士である筆者は、2026年7月20日にこのブログを構想し、翌日からドメイン取得と記事制作を始め、税理士試験の本試験が終わるのを待って8月6日にサイトを公開しました。制作を始めた7月21日の時点から、構想・下書き・画像生成用のプロンプト作成はClaude、画像の生成とWordPressへの入稿はCodex、という分担で回しています。ひとつのAIに全部やらせなかった最初の理由は、AIサービスの利用制限(一定時間内に使える量の上限)を分散させるためでした。記事の入稿、記事台帳の更新、画像の配置といった「書く以外の作業」は、いまはほぼ確認と公開ボタンを押すだけになりました。
構想から公開まで約2週間強、その間に約50本の記事を書き溜めて一気に公開する、というやり方が取れたのは、書く以外の工程をAIに渡していたからです。
AIエージェントとは、指示を受けて文章を返すだけでなく、ファイル操作やAPI呼び出しなどの「作業」を自律的に実行するAIのことです。この記事では、その仕組みをどう組んだか、実際に何が起きたか、そして税理士としてどこに線を引いているかを、実運用の記録として書きます。
先に一点だけ。この仕組みで扱っているのは、当ブログの原稿・台帳・サーバー設定といった筆者自身のデータだけです。顧問先の会計データや申告データは一切AIに渡していません。理由は後半で説明します。
税理士がAIエージェントでブログ運営を自動化するとは何をすることか?
結論から言うと、「文章を書くAI」と「作業を実行するAI」を分け、その間に人間の確認を必ず挟む仕組みを作ることです。筆者の場合はClaudeが設計と原稿と指示書を作り、Codexがその指示書どおりにWordPressやExcelを操作し、筆者が最終確認と公開を行います。AIに丸投げするのではなく、AIに「手」を持たせつつ「判断」は残す構造です。
三者分業の全体像
役割分担は次のとおりです。

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Claudeは文章を組み立てるのが得意で、Codexはターミナル上でコマンドを実行してファイルやAPIを扱うのが得意です。どちらか一方に両方をやらせるより、得意分野で分けたほうが失敗が減ると実感しています。
なぜ「全部AIに任せない」設計にしたか
理由は三つあります。ひとつは、先に触れた利用制限です。構想から公開までの短い期間に記事を集中的に作ったため、一つのAIに書く・作る・入稿するを全部やらせると、すぐに上限に当たって作業が止まります。得意分野で分けることは、上限を分散させることでもありました。ふたつめは、公開されるのは税理士名義の文章だという点です。税制や手続きの記述は筆者が一次資料と突き合わせてから公開する、という工程を外す気はありません。三つめは、後述するように「本文を古い内容で上書きしそうになる」「サーバーの防御機能に弾かれる」といった事故が実際に起きたことです。AIが実行し、人が確認する、という順番を崩さないほうが結果的に速い、というのが運用してみての結論です。
実際に自動化した作業一覧|記事入稿から台帳更新まで
現在AIに任せているのは、記事本文の入稿と部分更新、Excel台帳の更新、画像の生成と配置の三つです。いずれも「書く」作業ではなく、書いた後に発生していた「運ぶ・登録する・記録する」作業です。以前は記事を1本公開するたびに、この三つを手作業で順番にこなしていました。
WordPress REST API 経由の記事入稿・本文の部分更新
WordPressにはREST APIという、管理画面を開かずに外部から記事を作成・更新できる仕組みが標準で用意されています。Codexはこれを使って、Claudeが書いた本文を下書きとして投稿し、公開後の修正(内部リンクの追加、キャンペーン情報の差し替えなど)も本文の該当箇所だけを書き換えます。
筆者がやるのは、下書きをプレビューで確認して公開ボタンを押すことと、公開後の記事を一度通読することです。管理画面でブロックを組む作業は、いまはほとんどしていません。
Excel記事台帳(ステータス・公開URL)の自動更新
当ブログでは、全記事の番号・タイトル・キーワード・進捗・公開URLをExcelの台帳で管理しています。記事を公開したら、Codexが該当行のステータスを「公開済み」に変え、公開URLを記入します。台帳は数式や書式を含むため、それらを壊さない読み書きの方法を指示書に固定しています。
地味な作業ですが、「公開したのに台帳が古いまま」という状態が起きなくなったのは大きい変化でした。
記事用画像の生成・ZIP展開・ファイル配置
Claudeが作った原稿と画像の指示をZIPで受け取り、Codexが所定のフォルダに展開し、記事用の図解画像を生成して配置します。生成された画像は筆者が目視で確認したうえで、WordPressにアップロードします。画像の中に料金や日付を焼き込まないというルールも指示書側に持たせてあります。
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所要時間の正確な計測はしていないので数字は出しませんが、「記事を書き終えてから公開するまでの工程」が、体感では確認作業だけになった、というのが実態です。
実際に運用してわかったつまずきと対処
自動化は一発で動いたわけではなく、サーバーの防御機能に弾かれる、古い本文で上書きしそうになる、指示のたびにルールがぶれる、という三つの壁がありました。いずれも「AIが賢くなれば解決する」類の問題ではなく、運用ルール側で潰す必要がありました。同じことを始める方が同じ場所で止まらないよう、そのまま書きます。
サーバーのWAFにAPI操作がブロックされる
当ブログはConoHa WINGで運用しており、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)という不正アクセスの防御機能が有効になっています。これが、AIの正当なAPI操作を「攻撃」と誤認して止めることがありました。特に、テーマ側の計測用の設定欄に触れるような更新は誤検知されやすく、一度弾かれるとしばらくAPI全体が使えなくなります。
対処は二つです。ひとつは、誤検知されやすい箇所には最初から触らないという禁止事項を指示書に書くこと。もうひとつは、弾かれたらリトライせず即座に止まって報告する、と決めておくことです。人間がコントロールパネル側で対応してから再開する、という手順にしてから、事故はなくなりました。サーバー環境そのものについては、別記事「ConoHa WINGを開業ブログで使い倒したレビュー」で書いています。
古い本文で上書きしないための「編集前に必ず取得」ルール
公開後の記事を部分修正するとき、AIが手元に持っている本文が古いままだと、最新の内容を古い内容で丸ごと上書きしてしまう危険があります。実際に危うい場面がありました。
そこで、本文を書き換える前には必ずサーバー上の最新本文を取得し直す、置換の目印にする文字列は本文中に一箇所しか存在しないものにする、目印が見つからないか複数見つかったら作業を止めて報告する、という三つをルール化しました。「賢く判断して」ではなく「この条件なら止まれ」と書くほうが、AIには確実に伝わります。
短期間に大量に回すと、課金が一気に跳ね上がる
もうひとつ、事前に知っておいてほしいのがコストです。筆者は約2週間で約50本の記事をまとめて作ったため、ClaudeとCodexの利用量が一気に増え、Claudeは通常のProプランからその20倍の利用量が使えるMaxプラン(20x)へ、Codex側もChatGPT Plusからその20倍相当の利用量が使えるChatGPT Proへ、それぞれ一時的に引き上げる必要がありました。通常の運用ペース(月に数本の追加とメンテナンス)に戻ればここまでにはなりませんが、「立ち上げ期だけは課金が跳ねる」ことは、これから始める方は織り込んでおいたほうがよいと思います。具体的な金額と各社のプラン体系は変動するため、2026年8月時点の公式ページを確認してください。
AIに指示書(AGENTS.md)を持たせて毎回同じルールで動かす
上のようなルールを毎回チャットで伝えていると、伝え漏れが起きます。そこで、作業フォルダに常設の指示書ファイル(AGENTS.md)を置き、Codexが作業を始めるときに必ず読む形にしました。禁止事項、認証情報の扱い方、止まる条件、台帳の書き方といった「全記事共通のルール」はここに集約し、記事ごとの指示はClaudeがその都度出す、という二層構造です。
これは会計事務所で言えば、事務所共通のマニュアルと案件ごとの申し送りを分けるのと同じ発想で、慣れている方には馴染みやすい整理だと思います。
顧問先データはAIに渡していない|税理士としての運用ルール
この仕組みでAIに渡しているのは、当ブログの原稿・記事台帳・自分のサーバー設定だけです。顧問先の会計データ、申告データ、個人情報は一切入力していません。税理士には守秘義務があり、「便利だから」で線を越える運用にはしていない、というのが結論です。
AIに渡しているデータ・渡していないデータ

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判断基準は単純で、「それが外部に漏れたとき、困るのが自分だけか、顧問先か」です。前者は自分の責任で使い、後者は使いません。
税理士法第38条と、詳しい線引きは関連記事へ
税理士法第38条は、税理士が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしたり、盗用したりしてはならないと定めています。AIサービスに情報を入力する行為がこの規定との関係でどう評価されるかは、サービスごとのデータの取り扱い、契約条件、入力する情報の性質によって変わり、一律には言えません。だからこそ筆者は、判断が分かれる領域には最初から踏み込まず、自事務所のデータに限定するという運用にしています。
なお、各AIサービスの入力データの学習利用や保存に関する設定は変更されることがあります。本記事は2026年8月時点の運用であり、利用にあたっては各サービスの最新の公式ページを確認してください。
顧問先とのメールや予定管理といった日常業務にAIをどう使うか、その線引きをどう考えるかは、関連記事「ひとり税理士のAI業務効率化|Claudeの使い方・音声入力と守秘義務の線引き」で書いています。本記事はあくまで「ブログ運営の自動化」の話です。
認証情報の扱い(守秘義務ではなくセキュリティの話として)
WordPressをAPIで操作するには認証情報が必要です。これは顧問先情報ではありませんが、漏れれば自分のサイトが乗っ取られる情報なので、別の理由で丁寧に扱う必要があります。
筆者は、認証情報を本文やチャットに書かず、ローカルの設定ファイルに置いてCodexがそこから読む形にしています。また、投稿専用の権限で発行した認証情報を使い、不要になれば失効させます。パスワード類の管理そのものは、別記事「1Passwordで顧問先のe-Tax・銀行IDを安全に管理する方法」の考え方と同じです。
これから始める税理士は何から手を付けるべきか?
順番としては、まずブログという「AIに任せる対象」を自分の管理下に持つこと、次に失敗しても取り返せる作業から任せること、の二段階をおすすめします。いきなり自動化から入ると、何を任せたいのかが定まらないまま道具選びで止まります。
まずブログ環境を整える
自動化の前提として、自分でサーバーとWordPressを管理していることが必要です。無料ブログサービスではAPI操作の自由度が低く、今回のような仕組みは組みにくいのが実情です。当ブログと同じ環境の作り方は「税理士事務所のHP・ブログを自作する完全ガイド」に、使っているテーマについては「AFFINGERを本音レビュー」にまとめています。
最初に任せる作業の選び方
最初に任せるのは、「間違えても下書きのまま消せる」「元に戻せる」作業がよいと思います。筆者の場合は下書き投稿から始め、次に台帳更新、最後に公開記事の部分修正という順に広げました。公開記事を直接いじる作業は、止まる条件をルール化してから任せています。
ブログを運営し続けること自体の意味については「税理士のブログ・SNS集客は有効か?」で書いていますので、あわせてどうぞ。
よくある質問
Claude Codeとの違いは何ですか?
Claude Codeは、Codexと同じくターミナル上で作業を実行するタイプのAIエージェントです。筆者の運用では実行役にCodexを使っていますが、役割としては同種のツールで、記事中の「実行役」をClaude Codeに置き換えても考え方は同じです。どちらが優れているかという比較は、筆者は実運用していないため書きません。
無料プランでもここまでできますか?
実行系のエージェントは有料プランや利用量に応じた課金が前提のものが多く、無料枠だけで安定運用するのは難しいと考えています。筆者自身、立ち上げ期には一時的に上位プランに切り替えました(詳しくは「短期間に大量に回すと、課金が一気に跳ね上がる」の項)。料金体系は変わるため、2026年8月時点の各社公式ページを確認してください。
税務ソフトや会計ソフトの操作も自動化できますか?
技術的に可能かどうか以前に、筆者はしていません。顧問先データを扱う業務は本記事の仕組みの対象外にしています。理由は「顧問先データはAIに渡していない」の章のとおりです。
Windows環境でも同じことができますか?
できます。筆者はMacで運用していますが、仕組み自体はOSに依存しません。税理士業務全体でのMacとWindowsの使い分けは「税理士のパソコンはMacで大丈夫?」で扱います。
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(本記事の運用内容は2026年8月時点のものです)
