開業して顧問先が増えるほど、扱うID・パスワードは驚くほど増えていきます。自分のe-Tax・eLTAX、銀行のネットバンキング、会計ソフト、各種クラウド——そこに顧問先ごとの情報が積み重なります。気づけば「どこに何を保存したか分からない」「付箋やExcelに平文でメモしている」という状態になりがちです。これは、いざ事故が起きたときに取り返しがつきません。
筆者は開業にあたって、これらの認証情報をすべてパスワード管理ツール「1Password」に集約しました。この記事では、開業税理士である筆者が実際にどう使っているか、無料のパスワード保存とは何が違うのか、料金や始め方まで、実運用ベースで解説します。
\顧問先IDを守る第一歩に/
そもそも1Passwordとは?無料のパスワード保存と「仕事で」何が違う

1Passwordとは、ID・パスワード・クレジットカード情報・各種メモなどを暗号化して一元管理する、専用のパスワードマネージャーです。ブラウザやOS標準の保存機能と違い、端末やブラウザに縛られず、どの環境からでも同じ保管庫を使えます。
結論から言うと、個人利用なら無料のブラウザ保存やiCloudキーチェーンでも足ります。ただし顧問先の情報を扱う業務では、「安全な共有」と「監査」の面で無料機能では物足りない場面が出てきます。
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1Passwordは、アカウントのパスワードに加えて128ビットの秘密鍵(シークレットキー)を組み合わせる2キー導出モデルと、AES 256ビットのエンドツーエンド暗号化を採用しています。出典:https://1password.com/jp/password-management
無料機能が「劣っている」わけではなく、業務で求められる要件が個人利用より重い、というのが正しい理解です。
まずは「個人利用か、業務利用か」で必要なレベルが変わる、と押さえておけば十分です。
開業税理士のID・パスワードは、なぜこんなに増えるのか

開業すると、管理すべき認証情報が一気に増えます。理由はシンプルで、自分用のアカウントに加えて、顧問先ごとの情報を業務で扱うようになるからです。
具体的には、次のようなIDやパスワードが積み上がります。
ここで注意したいのが、顧問先が10件あれば、管理する認証情報は単純計算で10倍以上に膨らむということです。これを頭で覚えたり、付箋やExcelに平文で書いたりするのは現実的ではありません。
顧問先の認証情報を平文でメモやスプレッドシートに置くのは、最も避けたい運用 です。紛失・誤送信・端末故障のどれか一つで、信用問題に直結します。
なお、e-Taxは令和7年10月1日から「ID・パスワード方式」の新規発行が停止され、マイナンバーカード方式が主流になりつつあります(そもそもID・パスワード方式は個人納税者向けで、税理士は電子証明書方式です)。出典:https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2025/topics_20250925.htm。とはいえ、利用者識別番号や暗証番号、eLTAX・銀行・会計ソフトのログインは依然として大量にあり、パスワード管理の必要性はむしろ増しています。
「数が多い」「機密性が高い」——この2つがそろう時点で、専用ツールの出番です。
1Passwordで自分と顧問先のID(e-Tax・銀行など)を管理する実運用

結論として、筆者は保管庫(Vault)を用途で分けて管理しています。自分用の保管庫と、業務用(顧問先関連)の保管庫を分け、どこに何があるかを一目で分かるようにしています。
1Passwordでは、ログイン情報だけでなく、銀行口座・書類・メモなども種類ごとに整理して保管できます。強力なパスワードの自動生成もでき、サービスごとに異なる複雑なパスワードを自分で考える必要がありません。さらにWatchtower機能が、弱いパスワード・使い回し・過去に漏洩が報告されたパスワード・2要素認証の欠落などを検知して警告してくれます。出典:https://1password.com/jp/features/watchtower-identifies-security-risks
筆者の運用では、顧問先の情報は「顧問先名」でまとめ、e-Taxの利用者識別番号・eLTAXのID・会計ソフトのログインなどを紐づけています。こうしておくと、どの顧問先のどの情報かを迷わず引き出せるので、月次や申告期の作業が速くなります。
導入を検討するなら、まずは1Passwordの公式サイトで機能と料金を確認してみてください。14日間の無料トライアルがあります。
\まずは自分の環境から/
「顧問先ごとにまとめる」だけで、探す時間と入力ミスが一気に減ります。
スタッフ・外部との「安全な共有」はどうする?
結論から言うと、共有が必要な情報は「共有保管庫」または「有効期限付きの共有リンク」で渡すのが安全です。パスワードをチャットやメール本文に直接書くのは避けたい運用です。
1Passwordでは、保管庫を使って内容を整理し、必要な相手とだけ安全に共有できます。また、有効期限付きのリンクを作成すれば、1Passwordをまだ使っていない相手にもアイテムを共有できます。出典:https://1password.com/jp/product/password-manager
将来スタッフを雇ったり、外部パートナーと一時的に情報を渡したりする場面でも、「誰に・どの情報を・いつまで」見せるかをコントロールできます。
保管(ファイル)と認証情報(パスワード)は、置き場所を分けるのが基本です。ファイルの保管・共有については、無料クラウドじゃダメ?税理士が有料Dropboxを使う理由と実運用もあわせてご覧ください。
「共有は広げるより絞る」。1Passwordなら、その線引きを機能でコントロールできます。
無料のキーチェーン・ブラウザ保存で足りる人/1Passwordが要る人

まず正直に線引きすると、次のような人は無料機能でも大きな問題は起きにくいです。一方で、業務で顧問先の情報を扱うなら、1Passwordのような専用ツールが要ります。
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「無料だから危険」ではなく、「共有と監査が要るかどうか」で選ぶのが、判断を間違えないコツです。無料機能を不安だけで否定するのはフェアではありません。
パスワード管理ツールの比較をもう少し詳しく知りたい方は、iCloudキーチェーン・Chromeのパスワード保存で十分?税理士に1Passwordをすすめる理由もご覧ください。クラウド環境全体の考え方は、税理士のクラウド環境構築ガイド|ストレージ・パスワード・データ共有で整理しています。
業務で使うなら、1Passwordを一度試して、自分の運用に合うか確かめるのが早いです。
迷ったら「顧問先の情報を扱うか?」で決めると、答えが出やすいです。
1Passwordの始め方と料金【2026年7月時点】
始め方はシンプルです。無料トライアルで使い勝手を確かめてから、プランを確定するのがおすすめです。
無料トライアルに登録する
公式サイトからアカウントを作成する。14日間の無料トライアルで、まずは自分のログイン情報を登録して使用感を確かめる。
既存パスワードを取り込む
ブラウザやキーチェーンに保存済みのログイン情報をインポートし、1Passwordに集約する。
保管庫を用途で分ける
「自分用」「顧問先用」など保管庫を分け、顧問先ごとにアイテムを整理する。
プランを確定する
使い勝手を確認したら、自分に合ったプランに切り替える。
料金は、公式サイトの年払いで個人プラン(Individual)が年48米ドル、5人まで使えるファミリープラン(Families)が年72米ドルです(2026年7月時点)。日本からの契約は消費税10%が加算され、ドル建てのため為替で実際の請求額は変動します。事務所でスタッフと共有する場合は、法人向けのTeams/Businessプラン(利用人数で変動)が用意されています。出典:https://1password.com/jp/pricing/password-manager
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まずはIndividualで自分の環境を整え、スタッフが増えたらTeams/Businessに切り替える流れが無理なくおすすめです。
まとめ|1Passwordは開業税理士の「事故を防ぐ投資」
開業すると、自分と顧問先の認証情報が一気に増えます。これを付箋やExcelの平文で管理するのは、紛失・誤送信・漏洩のリスクが高く、税理士にとって信用問題に直結します。1Passwordのような専用ツールに集約すれば、保管庫の分離・安全な共有・Watchtowerによる監査で、こうしたリスクを大きく下げられます。
無料機能で足りるかどうかは「共有と監査が要るか」で判断すればOKです。顧問先の情報を扱う開業税理士なら、パスワード管理は最初に整えておきたい環境の一つです。まずは無料トライアルから、1Passwordを公式サイトで確認してみてください。
\無料トライアルから試せます/
税理士のパスワード管理は、無料のキーチェーンやブラウザ保存ではダメですか?
個人利用なら足りることも多いですが、顧問先の情報を扱う業務では、安全な共有・保管庫の分離・セキュリティ監査といった要件を満たすために専用ツールが必要になる場面が多いです。無料機能が劣るというより、業務要件が重いためです。
顧問先のIDやパスワードを1Passwordで預かって大丈夫ですか?
平文のメモやスプレッドシートで管理するより、暗号化された専用ツールに集約するほうが安全です。1PasswordはAES 256ビット暗号化と秘密鍵を組み合わせており、共有も保管庫や有効期限付きリンクで範囲を管理できます。共有先を限定するなどの運用ルールとあわせて使うのが前提です。
e-Taxがマイナンバーカード方式中心になっても、パスワード管理は必要ですか?
必要です。マイナンバーカード方式でも暗証番号は使いますし、eLTAX・銀行のネットバンキング・会計ソフト・各種クラウドのログイン情報は大量に残ります。むしろ管理対象は増える傾向です。
料金はいくらですか?
公式サイトの年払いで、個人プランが年48米ドル、ファミリープランが年72米ドルです(2026年7月時点)。日本からの契約は消費税10%が加算され、ドル建てのため為替で請求額が変わります。事務所でスタッフと共有する場合は法人向けプランがあります。
まず何から始めればいいですか?
14日間の無料トライアルに登録し、自分のログイン情報を取り込んで使用感を確かめるのがおすすめです。合うと感じたら個人プランから始めて、スタッフが増えたら法人向けに切り替えると無理がありません。