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「自分の事務所の記帳は結局どのソフトで回すのがいいんだろう?」。開業して自分の事務所の経理を自分でやるようになると、多くの税理士がここで一度立ち止まります。開業税理士である筆者は、自事務所の経理をマネーフォワード クラウド会計で回しており、MF公認メンバーにも登録しています。この記事では、「顧問先に入れる」視点ではなく自分の事務所で毎日使う税理士の視点から、マネーフォワードクラウドが向いている事務所・顧問先はどんなタイプかを、実体験と公式情報をもとに整理します。
マネーフォワードクラウドとは?税理士が使う範囲を整理

マネーフォワードクラウドとは、ブラウザ上で仕訳・記帳・決算書作成までを行い、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めるクラウド会計サービスです。会計だけでなく、請求書・経費・給与・勤怠など、バックオフィス業務を幅広くカバーするサービス群になっているのが特徴です。仕訳ベースの伝統的な会計ソフトに近い操作感で、簿記の考え方が身についている人ほど速く使える設計になっています。
税理士がマネーフォワードを使う場面は、大きく分けて2つあります。ひとつは自分の事務所の経理(自計化)に使うケース、もうひとつは顧問先に導入して記帳をクラウド化するケースです。この記事は前者、つまり自分の事務所で使う視点を主軸に解説します。顧問先への導入を含めた3社の全体比較は、別記事のクラウド会計ソフト比較(https://kaigyo-tax.com/cloud-accounting-comparison/)で整理しています。
「自分が使う」か「顧問先に入れる」かで、見るべきポイントは変わります。この記事は前者が中心です。
マネーフォワードクラウドの料金は?【2026年7月時点】
マネーフォワードクラウドの料金は、個人事業主向けと法人向けでプランが分かれています。結論から言うと、個人向けは月900円台から、法人向けは年32,736円(税込)から始められます。ただし年払い・月払いの違いや、給与・経費などを追加した場合の従量課金があるため、単純な月額だけでは総額が読みにくい点に注意してください。
※表は横にスクロールできます
出典(2026年7月時点)
- マネーフォワード クラウド(個人向け料金):https://biz.moneyforward.com/price/individual/
- マネーフォワード クラウド会計(法人向け料金):https://biz.moneyforward.com/accounting/smb/price/
なお、個人向けの表示価格は税抜、法人向けは税込での表示です。給与・経費・勤怠などを追加すると従業員数に応じた従量課金が発生し、総額は使い方で変わります。実際の金額は各社公式の料金シミュレーションで必ず確認してください(2026年7月時点)。
「基本料金+従量課金」で総額が決まるので、月額の最安値だけを見て決めないほうが安全です。
マネーフォワードクラウドが向いている事務所・顧問先の特徴

マネーフォワードクラウドが向いているのは、ひとことで言えば簿記の知識を活かして効率よく回したい事務所・事業者です。仕訳ベースの設計なので、会計の考え方が分かっている人ほど入力が速く、事務所全体の数字を一元管理しやすくなります。筆者が自分の事務所でマネーフォワードを選んでいるのも、まさにこの「簿記が分かる前提で速く回せる」点が理由です。
簿記が分かっている自事務所用に
顧問先に入れる場合も、経理担当がいて仕訳の考え方が通じる会社ほど、マネーフォワードとの相性は良い印象です。逆に、経理担当がおらず簿記が不慣れな事業者だと、仕訳ベースの入力が負担になることがあります。ここは次の見出しで詳しく整理します。
「速く回せる」は、自分が毎日触る事務所用ソフトでは大きな価値になります。
逆に向いていない・freeeの方が合うケース
正直にお伝えすると、マネーフォワードクラウドがすべての事務所・顧問先に最適というわけではありません。経理担当がいない・簿記が不慣れな顧問先には、質問に答える形で入力を進められるfreeeの方が合うことが多いです。筆者自身も、バックオフィスが未整備な顧問先にはfreeeを多数導入してきました。
特にScanSnapで大量のレシートを取り込む運用なら、freeeの方が向いています。ScanSnap CloudはMF・freeeどちらとも連携できますが、取り込んだあとにできることが違います。
※表は横にスクロールできます
| ScanSnap連携でできること | マネーフォワード | freee |
|---|---|---|
| スキャン画像をクラウドに保存 | ○ | ○ |
| 会計ソフト側へ自動保存(ファイルボックス等) | ―(ストレージ保存止まり) | ○ |
| 仕訳への自動添付・自動仕訳の作成 | ×(不可) | ○ |
| 顧問先ごとに宛先を切替(対応機種) | ― | ○ |
(2026年7月時点/出典:https://biz.moneyforward.com/support/account/guide/others/ot03.html)
「自分の事務所=マネーフォワード」「バックオフィスが未整備な顧問先=freee」という使い分けは、どちらが優れているという話ではなく、使う人のスキルと業務の状況に合わせた選び方です。freee側の詳しい向き・不向きは、freeeの個別記事(https://kaigyo-tax.com/freee-zeirishi/)で解説しています。
「自分に合う」と「顧問先に合う」を分けて考えると、ソフト選びの迷いはぐっと減ります。
自分の事務所でマネーフォワードクラウドを使ってみた実体験
ここは筆者の一次情報です。筆者は開業にあたり、自分の事務所の経理をマネーフォワード クラウド会計で回すことにしました。決め手は、仕訳ベースで自分の手に馴染むことと、銀行明細やカードの自動連携で記帳の手間が大きく減ることの2点です。
実際に使ってみて感じているのは、簿記が分かっている前提だと入力の判断が速く、月次の数字をすぐ確認できるという点です。会計・請求・経費といった周辺サービスを同じアカウント体系で連携できるため、事務所全体の数字を一元管理しやすいのも、自計化する税理士にとっては実務的なメリットだと感じています。
一方で、これは裏を返せば「簿記が分かっていることが前提」ということでもあります。会計に不慣れな人がいきなり触ると、freeeより取っつきにくく感じる場面はあると思います。あくまで簿記が身についている税理士・経理担当が、効率を求めて使うソフトという位置づけで捉えるのが実態に近いです。
自分が毎日触る事務所用ソフトだからこそ、「手に馴染むか」は想像以上に効いてきます。
MF公認メンバーとは?税理士側のメリットと注意点
マネーフォワード クラウド公認メンバーとは、会計事務所向けに用意されたパートナー制度のことです。筆者もこの公認メンバーに登録しています。無料の「ブロンズ」プランがあり、事務所自身が使うアカウントや、顧問先用のアカウント(数社分)を料金負担なく利用できるのが入り口になっています。
注意点として、シルバー以上のプランは有料で、顧問先での利用社数が増えるとランクが上がっていく仕組みです。無料のブロンズだけでも事務所利用や顧問先への提案は始められるため、「まず登録して自分で使ってみる」ハードルは低い制度だと感じています。
なお、freeeにも「認定アドバイザー」という会計事務所向け制度がありますが、筆者はfreeeの認定アドバイザーには登録していません(会費負担を理由に見送っています)。MF公認メンバーは無料のブロンズから登録できたため登録している、という違いがあります。制度の有無で顧問先への導入可否が変わるわけではない点も、あわせてお伝えしておきます。
出典(2026年7月時点)
- マネーフォワード クラウド公認メンバー制度:https://biz.moneyforward.com/mfc-partner/about-member/
「制度に入っているから勧めている」わけではありません。自分で使って良いと思ったから使っている、が本音です。
マネーフォワードクラウド導入の始め方

マネーフォワードクラウドは、無料トライアルから始められます。自事務所用に使うなら、まずは実際の操作感を確かめてから本契約に進むのが安全です。
無料で登録する
メールアドレスで登録し、事業者(自分の事務所)を作成します。クレジットカード登録なしで一定期間お試しできます。
プランを選ぶ
個人事業主なら個人向けプラン、法人なら法人向けプランから、自分の事務所の形態に合うものを選びます。
銀行・カードを連携する
事務所の口座やクレジットカードを連携し、明細の自動取り込みを設定します。ここが記帳の効率を大きく左右します。
仕訳を確認して登録する
自動で提案される仕訳を確認しながら登録します。簿記が分かっていれば判断は速く進みます。
公認メンバーを検討する
顧問先にも展開していくなら、無料のブロンズから公認メンバー登録を検討します。
自事務所の運用に組み込むなら、期の切り替えタイミングで導入すると、期首残高の確認などがスムーズです。
簿記を活かして自事務所を効率化
まずは無料トライアルで「自分の手に馴染むか」を確かめるのが、遠回りに見えて一番確実です。
よくある質問(FAQ)
マネーフォワードクラウドは簿記の知識がなくても使えますか?
使えますが、マネーフォワードは仕訳ベースの設計のため、簿記が分かっているほど速く快適に使えます。簿記にまったく不慣れな場合は、質問に答える形で進められるfreeeの方が取っつきやすいことがあります。
個人事業主と法人でプランは違いますか?
違います。個人向け(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)と法人向け(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス)でプラン体系が分かれています。自分の事務所の形態に合わせて選びます(2026年7月時点)。
MF公認メンバーには税理士なら誰でも登録できますか?
会計事務所向けの制度で、無料のブロンズプランから登録できます。事務所利用アカウントや顧問先用アカウントを無料で使えるのが入り口です。顧問先の利用社数が増えると有料の上位プランに上がっていく仕組みです(2026年7月時点)。
顧問先と自事務所で会計ソフトを揃えるべきですか?
揃える義務はありません。筆者は自事務所にマネーフォワード、バックオフィスが未整備な顧問先にfreeeという使い分けをしています。事務所の管理効率だけを見れば揃っている方がラクですが、顧問先ごとに最適なソフトが違うこともあります。
無料で使い続けられますか?
無料登録でも一部機能は使えますが、青色申告決算書の作成など業務で使う機能は有料プランが前提になります。最新の無料範囲は公式でご確認ください(2026年7月時点)。
まとめ|マネーフォワードクラウドが向いている事務所とは
マネーフォワードクラウドが向いているのは、簿記の知識を活かして、自分の事務所を効率よく回したい税理士・事業者です。仕訳ベースの設計で、会計・給与・請求・経費まで連携させて数字を一元管理できるのが強みで、筆者自身も自事務所の経理をマネーフォワードで回しています。一方、経理担当がおらず簿記が不慣れな顧問先には、freeeの方が合うことが多いです。「自分に合うソフト」と「顧問先に合うソフト」を分けて考えるのが、失敗しない選び方です。まずは無料トライアルで、自分の手に馴染むかどうかを確かめてみてください。
自事務所の経理に使うなら
会計・業務ソフト全体の選び方は、カテゴリの総合ガイドでも整理しています。 関連記事:開業税理士の会計・業務ソフト選定ガイド
3社を横並びで比べたい方は、比較記事もあわせてどうぞ。 関連記事:クラウド会計ソフト比較|freee・マネーフォワード・弥生