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「税理士 開業 失敗例」で検索しているあなたは、これから開業する、または開業したばかりで「先にやらかしパターンを知っておきたい」と考えているのだと思います。筆者も開業前はまったく同じことを調べていました。
この記事では、開業税理士である筆者が実際に経験した失敗と、先輩税理士の助言で回避できた失敗を、安売り・顧客選び・設備投資の3類型に分けて解説します。外部環境のせいではなく「自分の判断で避けられたはずのこと」に絞っているのが特徴です。
開業税理士がやりがちな「失敗」とは?【困ったこととの違い】

開業税理士がやりがちな失敗とは、外部環境や想定外の出来事ではなく、自分の判断で選んだ結果として後から苦しくなる意思決定のことです。代表例が「顧問料の安売り」「合わない顧客との契約」「過剰な設備投資」の3つで、いずれも開業前に知っていれば回避できます。
別記事で書いた「開業して困ったこと」は、専門外の相談が来る・預金が減り続けるといった、開業すれば誰でも直面する外部要因の話でした。一方この記事で扱うのは、契約書にハンコを押す前・購入ボタンを押す前に、自分で選び直せたはずの判断ミスです。
3つに共通するのは、売上がない時期の焦りと不安が、判断を歪めるという構造です。逆に言えば、焦っていない開業前の今のうちに判断基準を決めておけば防げます。
失敗の中身より「なぜその判断をしてしまうのか」を先に知っておくと、自分が同じ場面に立ったときに気づけますよ。
関連記事:税理士が開業して困ったこと5選|孤独より資金繰りがきつかった
失敗①:顧問料の安売りはなぜ後から苦しくなるのか?

顧問料の安売りが失敗と言われるのは、一度下げた料金は上げにくく、低い時間単価のまま何年も固定されやすいからです。筆者は税理士会の集まりで、先輩税理士から「安く受けると、私みたいに数年後に困るよ」と実体験として聞いたことで、この失敗を回避できました。
開業直後は顧問先がゼロなので、「安くすれば契約してもらえるかもしれない」という発想になりがちです。しかし安売りには次のような構造的な問題があります。
筆者の場合は、事務所HPに料金表を先に作って公開し、見積もりは必ず料金表どおりに出すと決めています。値切られた場合は、条件を曲げるのではなく丁寧にお断りしています。料金表を「先に」作って公開しておくことが、焦った自分への一番のブレーキになります。
先輩の「数年後に困る」という言葉は重かったです。安売りの失敗は、始めた瞬間ではなく数年後に効いてくるんですよね。
顧問料の具体的な決め方と料金表の作り方は、別記事に手順をまとめています。
関連記事:顧問料はいくらにする?開業税理士が料金表を作った手順と判断基準
失敗②:合わない顧客でも受けてしまうとどうなる?
合わない顧客との契約が失敗になりやすいのは、契約前の面談で感じた違和感は、契約後にほぼ確実に大きくなるからです。しかも顧問契約は単発の仕事と違って長く続くため、小さなストレスが毎月積み重なります。
「開業したばかりで選べる立場じゃない」と思い込むと、条件面や相性に引っかかりを感じても契約してしまいがちです。しかし筆者は、契約前の面談で違和感を覚えた場合は、角が立たないようにお断りして契約しないことにしています。その結果、いまの顧問先とはストレスなく関係を継続できています。
ひとつ補足すると、売上のためにあえて我慢して受けるという経営判断も、間違いではありません。開業直後の資金状況によっては合理的な選択です。ただ筆者は、長く続く顧問契約だからこそ「受けない基準」を優先すると決めており、実際にそれで後悔したことはありません。
断るのは勇気がいりますが、「断ってよかった」はあっても「断らなければよかった」は今のところないです。
失敗③:開業前の設備投資はなぜ過剰になりやすいのか?

開業前の設備投資が過剰になりやすいのは、まだ売上がない時期ほど「形から揃えて開業の実感を得たい」心理が働くからです。しかし働き方が固まる前に買ったものは外れやすく、筆者にも実際に失敗があります。
開業税理士である筆者が「まだ不要だった」と感じたのが、サブのノートPCです。外出先でも仕事ができるようにと考えて用意しましたが、筆者は顧問先対応をオンライン原則にしているため、外出先で仕事をする場面がまったくなく、出番がほぼありませんでした。働き方が決まる前に「あったら便利そう」で買ったものは、高確率で使いません。
逆に、あえて買わなかった・導入しなかったことで正解だったものもあります。
ここから言えるのは、設備は「開業時に最小限だけ揃え、業務が発生してから追加する」が原則だということです。税務ソフトのように高額な固定費は、それを使う顧問先ができてからで間に合います。
「開業したら必要になるはず」で買うのではなく、「今月の業務で使う」ものだけ買う。これだけで無駄がかなり減ります。
開業時に実際に何を揃えたか(PC・モニター・スキャナなど)は、こちらの記事で全体像をまとめています。
関連記事:税理士のPC・デスク環境完全ガイド【開業時に揃えるもの】
関連記事:ScanSnap iX2500レビュー|税理士事務所のペーパーレス実運用
失敗を避けるために開業前にできることは?
3つの失敗を避ける最大の予防策は、焦っていない開業前のうちに、判断基準を文章にして決めておくことです。売上ゼロの時期は誰でも判断が歪みます。基準さえ先に作っておけば、焦っている自分でも機械的に判断できます。
なお、これを守れば必ずうまくいく、という話ではありません。基準はあくまで「焦った自分へのブレーキ」であって、状況によって基準ごと見直す柔軟さも必要です。それでも、基準なしで開業直後の焦りに向き合うのと、基準を持って向き合うのとでは、判断の安定感がまったく違います。
筆者も基準を先に決めていたおかげで、断る場面で迷いませんでした。決めるなら開業前の「冷静な今」です。
安く受けてしまった顧問料は、後から値上げできますか?
値上げ交渉自体は可能ですが、新規契約時の価格設定に比べてハードルは高くなります。業務量の増加や契約内容の見直しなど、根拠を示して交渉するのが一般的です。だからこそ、最初の価格設定を安易に下げないことが重要です。
開業直後は仕事を選ばないほうがいいのでは?
考え方次第です。資金状況によっては売上を優先して受ける判断も合理的で、筆者もそれ自体は否定しません。ただし顧問契約は長期間続くため、筆者は「受けない基準」を優先し、違和感のある契約は断る方針を取っています。
開業時の設備投資はどこまで揃えるべきですか?
「今すぐの業務で使うもの」に絞るのが原則です。筆者はサブのノートPCを用意して失敗し、税務ソフトは法人顧問先ができるまで導入を見送って正解でした。PC・モニター・スキャナ等の具体的な構成は当ブログのPC・デスク環境ガイドを参考にしてください。
すでに失敗してしまった場合、取り返せますか?
多くの場合、軌道修正は可能です。安売りなら新規から料金表を適用する、設備なら追加投資を止める、といった対応ができます。大事なのは失敗に早く気づき、同じ判断を繰り返さないことです。
まとめ:税理士開業の失敗例は「焦りによる判断ミス」に集約される
税理士開業の失敗例として語られる安売り・顧客選び・設備投資は、どれも売上ゼロ期の焦りが判断を歪めることで起きます。開業税理士である筆者の実体験では、料金表の事前公開・受けない基準の言語化・「今月使うものだけ買う」の3つで、大きな失敗は避けられています。
失敗のパターンをさらに広く(お金・手続き・営業・実務・環境)押さえたい方は、つまずきポイントのまとめ記事もあわせてどうぞ。