開業税理士である筆者は、官報合格から開業初年度にかけて、経営・集客・お金・ブログ運営・AI活用・事務所の実務の本を30冊読みました。中心は税法の実務書ではなく、「開業したあとの経営判断」と「事務所として起こりうるトラブルへの備え」を助けてくれる本です。
この記事では、そのなかで実際に役立った本をジャンル別にまとめ、Kindle Unlimitedで読める本はどれかを2026年9月時点の情報で整理しています。各ジャンルの詳しい感想と「実務でどう使ったか」は、ジャンル別の記事に分けています。
税理士は開業前にどんな本を読めばいい?

実務の知識は勤務時代の分で足りました。先に読むべきだったのは、経営の本のほうです。
結論から言うと、税法の実務書より先に「集客」「お金」「法人化」の本を読むほうが、開業初年度の判断に効きました。実務の知識は勤務時代に積み上がっていても、「顧問料をいくらにするか」「売上ゼロの月をどう凌ぐか」は、開業してからいきなり自分で決めることになるからです。
ここでいう「開業本」とは、税理士試験や実務の参考書ではなく、開業後に自分の事務所をどう運営するかを考えるための経営書・ビジネス書のことです。
筆者が読んだ本を、開業前後で迷いやすい順に並べると次のとおりです。
※スマホでは表を横にスクロールできます。
| ジャンル | こんな悩みに | 冊数 | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 集客・営業・顧問料 | 顧問先ゼロからどう営業するか、顧問料をいくらにするか、どんな事務所運営にするか | 4冊 | 顧問先ゼロの税理士が読んだ集客・営業・顧問料の本 |
| ひとり法人・法人化 | 顧問先に「法人化すべき?」と聞かれたときの引き出し | 4冊 | 顧問先に「法人化すべき?」と聞かれる前に読んだひとり法人・マイクロ法人の本 |
| 節税・資金繰り・借入 | 開業1年目の運転資金と借入の考え方 | 7冊 | 準備中 |
| ブログ・Web集客 | 事務所ブログをどう書き、どう育てるか | 5冊 | 税理士がブログ集客の前に読んだ本 |
| AI・業務効率化 | 生成AIを経理・会計の実務にどう組み込むか | 1冊 | 本記事内で紹介(実践は ひとり税理士のAI業務効率化) |
| 働き方 | ひとりで働くための考え方 | 3冊 | 本記事内で紹介 |
| 実務書・リスク管理 | 契約書・労務・トラブルへの備えと、手元に置く実務書 | 6冊+未読2冊 | 本記事内で紹介 |
読む順番に正解はありませんが、筆者は「集客→お金→法人化」の順で読んで、ブログ本は事務所サイトを作る直前に集中して読みました。
ジャンル別・読んでよかった本一覧
各ジャンルの本を、書名と一言コメントで紹介します。ジャンルごとに「まず1冊」を選んでいるので、全部読む時間がない人はそこから手に取ってください。
集客・営業・顧問料の本(4冊)
開業直後にいちばん不安だったのは営業でした。この4冊は「税理士がどうやって顧問先を獲得し、どう顧問料を説明し、どんな事務所を運営するか」をそれぞれ違う角度から扱っています。
- 売れ続ける士業・コンサルが実践してきた 起業3年目までの最強の顧客獲得術:紹介・異業種提携・セミナーという士業向けの集客手段を、開業3年目までに絞って整理した本。筆者が最初に読んだ営業本です。
- 税理士なら誰でも年収3000万:集客・マーケティング・事務所オペレーションを税理士業に特化して書いた本。売上目標をどう分解するかの参考にしました。
- 税理士に顧問料を払う本当の理由:顧問先の側から「なぜ顧問料を払うのか」を書いた本。自分の料金表を説明する言葉を考えるときに読み返しています。
- 税理士事務所の開業5つの知恵袋 税理士事務所営業戦略大全:開業税理士向けに、営業と事務所運営の考え方をまとめた本。どのような事務所運営の方法が自分に合うかを決めるために読みました。
営業手段ごとに何を試して何をやらないと決めたかは、顧問先ゼロの税理士が読んだ集客・営業・顧問料の本にまとめています。
ひとり法人・法人化の本(4冊)
開業すると、顧問先から「法人にしたほうが得ですか」と必ず聞かれます。筆者は自分の事務所は個人事業のままですが、この質問に根拠を持って答えるために、ひとり法人の本を賛否両方の立場から読みました。
- マイクロ法人節税に騙されるな:マイクロ法人の設立を経験した税理士が、注意点を書いた本。「法人化すれば得」という単純な話ではないことを、相談を受ける側として押さえておきたい1冊。
- あなたが1人で法人を作る理由:副業でも法人を作る理由を、ひとり社長の実態から書いた本。
- 一人法人にすべき理由が良く分かる本:節税以外の観点(長く続けるためのメリット)から法人化を説明した本。
- マンガでわかる 個人事業の始め方:個人事業の基礎をマンガで整理した本。顧問先候補が最初に手に取る本として、どんな説明のされ方をしているかを知る目的で読みました。
法人化の判断は所得や事業内容によって結論が変わります。相談を受けたときに何を並べて比べているかは、顧問先に「法人化すべき?」と聞かれる前に読んだひとり法人・マイクロ法人の本にまとめています。
節税・資金繰り・借入の本(7冊)
開業1年目でいちばん実務と直結したのがこのジャンルです。税理士は節税の知識はあっても、「自分の事務所の資金繰り」を経営者として考えるのは初めてだったからです。
- なぜ「節税」しているのにお金が残らないのか:節税と手元資金の関係を財務の視点で整理した本。顧問先への説明の組み立てに使っています。
- ひとり社長の世界一ゆるい節税:ひとり社長向けの節税の考え方をマンガで解説した本。
- 社長の節税と資産づくりがこれ1冊でわかる本:オーナー社長向けの節税と資産形成を1冊にまとめた本。
- グレーな税金本:税務調査の立会い経験が豊富な税理士が、攻めた節税方法を紹介した本。顧問先から同じような話を持ちかけられたときに判断できるよう、知識武装の目的で読みました。筆者のブログでは、根拠が公表資料で確認できる内容だけを扱っています。
- 知らないと損をする税金の話:副業をしている会社員向けの税金の本。顧問先候補の関心がどこにあるかを知るために読みました。
- 起業、個人事業、中小零細経営者のための 資金繰り1年生:資金繰りの基本を1年生向けに書いた本。開業直後の運転資金の考え方はここから入りました。
- 借入は減らすな!:無借金経営に対して、借入を手元資金として持つ考え方を書いた本。
自分の事務所の運転資金をどう決めたかは、別記事で詳しく書く予定です。
ブログ・Web集客の本(5冊)
当ブログと事務所サイトを自分で作る前に、まとめて読んだのがこの5冊です。SEOライティングと、ブログを長く運営するための考え方が中心です。
- 沈黙のWebライティング:検索エンジンに評価される記事の書き方を、ストーリー形式で解説した本。記事の構成を考えるときの土台になりました。
- ブログで5億円稼いだ方法:収益ゼロの期間からブログを育てた過程と、記事の戦略を書いた本。
- 本気で稼げるアフィリエイトブログ:ブログの作り方から収益化までを網羅した本。
- Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]:10年先まで安定して運営するサイト設計を扱った本。テーマ選びと「ストック型の記事」の考え方に影響を受けました。
- 「ゆる副業」のはじめかた アフィリエイトブログ:スキマ時間でブログを続けるための本。文章のリズムや読みやすさの工夫を参考にしました。
ブログをどう作ったかの実例は 税理士事務所のHP・ブログを自作する完全ガイド にあります。
5冊のうち実際に運営へ反映させた4冊の使い分けは、税理士がブログ集客の前に読んだ本にまとめています。
AI・業務効率化の本(1冊)
開業後に読んだ本のなかで、いちばん実務に直結したのがこのジャンルです。筆者はClaudeやGmail・Googleカレンダーの連携で日常業務を自動化していますが、「経理・会計の業務に生成AIをどう当てはめるか」を体系的に整理してくれたのがこの1冊でした。
- Before⇒Afterでよくわかる 生成AI×経理・会計 実務入門:経理・会計の業務をBefore/Afterの形で並べ、生成AIでどこがどう変わるかを示した本。プロンプトがダウンロードできるので、読んだその日から試せます。筆者は紙で購入しました。
筆者自身の自動化の手順と守秘義務の線引きは ひとり税理士のAI業務効率化 にまとめています。AI活用の本は今後読んだものを随時追加します。
ひとりで働くための本(3冊)
ひとりで働くための考え方の本です。個別記事は作っていません。
- 戦いたくない士業のためのストレスフリー仕事術:司法書士が書いた、しがらみを手放してひとりで働くための仕事術。ひとり税理士の働き方を考えるときに読みました。
- 嫌われる勇気:他者の評価から自由になる考え方を対話形式で書いた本。
- うまくいっている人の考え方 完全版:短い項目で自己肯定の考え方を書いた本。移動中の読み返し用。
手元に置いている実務書(6冊+購入済み・未読2冊)
開業にあたっては、税務の知識そのものより「事務所として起こりうるトラブル」を先に把握しておきたくて、実務書を買い足しました。
- 〈令和7年分〉所得税 確定申告の手引:確定申告期に手元に置く実務書。毎年分を買い替えています。
- 関与先100 5分でわかる業種別税務ポイントガイド:新しい顧問先の業種の税務ポイントを、面談前に5分で確認するための本。
- こんなときどうする?税理士のための税務判断フローチャート46:法人クライアントを持つ税理士が直面しがちな実務判断を、フローチャートで整理した本。どんな場面で判断に迷いやすいかを、事前に把握する目的で購入しました。
- 税理士必携 トラブルにならないための社会保険と労務の知識:社会保険労務士が、税理士向けに社会保険と労務の知識をまとめた本。当事務所では社会保険・労務・給与計算は受けていませんが、顧問先の相談を受ける以上、最低限の知識とトラブル事例は押さえておく必要があると考えて購入しました。
- 弁護士が解説!税理士が気をつけたいトラブル事例:税理士が巻き込まれやすいトラブルを、弁護士が事例で解説した本。
- Q&A 税理士事務所の法務全書 契約問題・守秘義務・懲戒・税理士法人の定款対策等まで:契約・守秘義務・懲戒などの論点を、税理士事務所の立場からQ&A形式で扱った本。
顧問契約書・スポット契約書を作るときに参考にしたのが、最後の2冊です。契約書に入れておいたほうがいい文言がまとまっているので、軽く通読したうえで、NotebookLMを使って自分の契約書PDFを本の内容に沿って見直しました。開業時に契約書のひな形を整えるなら、この2冊から読むのがおすすめです。
開業後に税務調査の対応を見据えて、次の2冊も買い足しました(2026年9月時点で未読のため、読了後に感想を追記します)。
- 否認事例・誤りやすい事例による 税務調査の重点項目(第3版):否認されやすい項目を事例ベースで確認するための実務書。
- 顧問税理士のための税務調査の連絡が来たら読む本:調査の連絡が来てから当日までの対応を、顧問税理士の立場で整理した本。
全部は読まなくていいので、気になったジャンルの「まず1冊」から手に取ってみてください。
Kindle Unlimitedで読める本はどれ?【2026年9月時点】

筆者が読んだ30冊のうち、Kindle Unlimitedの対象だったのは10冊、Prime Readingの対象が1冊、単品で購入したのが19冊(うち紙の本4冊)でした。このほか、税務調査の実務書2冊(紙)を購入済みです(2026年9月時点。対象タイトルは入れ替わるため、購入前に各商品ページで確認してください)。
※スマホでは表を横にスクロールできます。
| 書名 | 区分 |
|---|---|
| マイクロ法人節税に騙されるな | Kindle Unlimited |
| あなたが1人で法人を作る理由 | Kindle Unlimited |
| 一人法人にすべき理由が良く分かる本 | Kindle Unlimited |
| マンガでわかる 個人事業の始め方 | Kindle Unlimited |
| ひとり社長の世界一ゆるい節税 | Kindle Unlimited |
| 社長の節税と資産づくりがこれ1冊でわかる本 | Kindle Unlimited |
| 知らないと損をする税金の話 | Kindle Unlimited |
| 借入は減らすな! | Kindle Unlimited |
| 税理士に顧問料を払う本当の理由 | Kindle Unlimited |
| 戦いたくない士業のためのストレスフリー仕事術 | Kindle Unlimited |
| うまくいっている人の考え方 完全版 | Prime Reading |
| なぜ「節税」しているのにお金が残らないのか | 購入 |
| グレーな税金本 | 購入 |
| 資金繰り1年生 | 購入 |
| 起業3年目までの最強の顧客獲得術 | 購入 |
| 税理士なら誰でも年収3000万 | 購入 |
| ブログで5億円稼いだ方法 | 購入 |
| 沈黙のWebライティング | 購入 |
| 本気で稼げるアフィリエイトブログ | 購入 |
| Google AdSense マネタイズの教科書[完全版] | 購入 |
| 「ゆる副業」のはじめかた アフィリエイトブログ | 購入 |
| 嫌われる勇気 | 購入 |
| 〈令和7年分〉所得税 確定申告の手引 | 購入 |
| 関与先100 5分でわかる業種別税務ポイントガイド | 購入 |
| 税理士事務所の開業5つの知恵袋 税理士事務所営業戦略大全 | 購入 |
| Q&A 税理士事務所の法務全書 | 購入 |
| こんなときどうする?税理士のための税務判断フローチャート46 | 購入(紙) |
| 税理士必携 トラブルにならないための社会保険と労務の知識 | 購入(紙) |
| 弁護士が解説!税理士が気をつけたいトラブル事例 | 購入(紙) |
| 否認事例・誤りやすい事例による 税務調査の重点項目(第3版) | 購入(紙・未読) |
| 顧問税理士のための税務調査の連絡が来たら読む本 | 購入(紙・未読) |
| Before⇒Afterでよくわかる 生成AI×経理・会計 実務入門 | 購入(紙) |
ひとり法人・節税系はKindle Unlimited対象が多く、ブログ運営系と実務書は単品購入が中心という傾向でした。筆者は開業準備中にKindle Unlimitedに加入し、対象本をまとめて読んでから、手元に残したい本だけ購入する使い方をしています。
読み放題で試して、手元に残したい本だけ買う。この使い分けに落ち着きました。
\読み放題で試して、残したい本だけ買う/
月額料金と単品購入の損益分岐は、別記事で計算する予定です。
Kindleはどこで読む?Paperwhiteとアプリの使い分け

筆者はKindle Paperwhiteとスマホのアプリを併用しています。移動中や待ち時間にまとまって読むのはPaperwhite、面談前に実務書の該当箇所を確認するのはスマホのアプリ、という分け方です。
Paperwhiteは通知が来ないので、開業準備中に読書時間を確保するには向いていました。一方で、表や図の多い実務書はスマホやPCの大きい画面のほうが見やすく、端末1台で済むわけではありません。
端末が必要かどうかは読み方によります。比較記事は準備中です。
移動中はPaperwhite、面談前の確認はスマホ。この2台持ちで落ち着いています。
読んだ本を実務でどう使ったか

本を読んで変わった判断は、顧問料・法人化の答え方・サイトの作り方の3つです。
本を読んだだけでは開業は進まないので、筆者が実際に判断に使った場面を3つ挙げます。
顧問料を決めるとき
『税理士に顧問料を払う本当の理由』と『税理士なら誰でも年収3000万』を読んで決めたのは、顧問料を安売りしないことです。ひとりで仕事をしている以上、受けられる件数には上限があります。だから「気が合うお客さんと、お互いに納得できる値段と業務量で請け負う」を料金表の前提に置きました。価格で選ばれようとしない方針は、この2冊で腹落ちしています。
顧問先から法人化を相談されたとき
ひとり法人の本を4冊読んだ目的は2つあります。ひとつは、フリーランスの顧問先から「個人事業とマイクロ法人の二刀流はどうか」と相談されたときに、メリットだけでなく手間とコストまで含めて答えられるようにすること。もうひとつは、筆者自身が将来、税理士業とは別に法人(会計法人など)を持つ選択肢を検討するためです。筆者の地域には税理士国保がなく、社会保険の負担をどう設計するかは開業当初から考えておく必要がありました。法人化は節税の話に見えて、実際は社会保険と手間の話が半分以上を占める。そう思えるようになったのがこの4冊の収穫です。
このブログと事務所サイトを作るとき
事務所サイトもこのブログも、記事を書き始める前に「想定読者・必要な記事・カテゴリ分け」を先に設計してから作りました。記事がある程度たまってからカテゴリを整える順番だと、後から構造を直す手間が大きくなるからです。この「先にサイト全体を設計する」考え方は『Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]』で学び、個々の記事の書き方は『沈黙のWebライティング』に従っています。当ブログが4層のカテゴリ構造になっているのは、その結果です。
よくある質問
開業前に何冊くらい読めば足りますか?
筆者は開業前後で30冊読みましたが、判断に直結したのは各ジャンルの「まず1冊」に挙げた4冊です。まずその4冊を読み、気になったジャンルを追加で読むのが効率的です。
税法の実務書は読まなくていいのですか?
実務書は必要ですが、勤務時代の知識があれば開業直後に急いで揃える必要はありませんでした。先に必要になるのは、顧問料・営業・資金繰りといった経営判断の本です。
Kindle Unlimitedだけで足りますか?
ひとり法人や節税の本は対象が多い一方、ブログ運営の本は単品購入が中心でした(2026年9月時点)。無料体験で対象本を読み、残したい本だけ買うのが筆者の使い方です。
紙の本とKindle、どちらで読むべきですか?
経営書は読み返す頻度が低いのでKindleで十分でした。トラブル事例や労務の本のように、必要な場面で該当ページを開く実務書は、筆者は紙で買っているものもあります。使い方に合わせて選んでください。
まとめ
- 開業前に読むなら、実務書より先に「集客」「お金」「法人化」の本
- 各ジャンルの「まず1冊」から読み始めれば、30冊すべて読む必要はない
- ひとり法人・節税系はKindle Unlimited対象が多い(2026年9月時点)
本以外の開業準備(登録手続き・事務所のHP・PC環境・会計ソフト)は、開業税理士のはじめかたトップページのカテゴリからたどれます。
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